脅威のマリオネーションアクト!

台湾の伝統的な人形芝居=布袋戯と最新のSFXを駆使したスーパーアクション!!
それは、日本の人気コミック「ドラゴンボール」やゲームソフト「ドラゴンクエスト」を彷彿とさせるものがある。"これが、本当に人形なのか!?"と疑いたくなる様な、おそろしくスピーディーなアクションは、われわれ日本人が知る、かつてのNHK人形時代劇「新・八犬伝」や「真田十勇士」からは、想像もつかない世界観だ。

映画「聖石傳説」は、"いまだかつて、誰も観たことの無い新しい映像の世界"を観客に提示している。作品の冒頭部から、突然、山中で登場人物が入り乱れて繰り広げられるアクション・シーン。ダイナミックで有りながら何とも言えない乾いた描写、そのスピード感、映画が始まるや観客の誰もがどの登場人物に情感を込める暇を与えられないまま、いきなり事態の核心へと放り込まれる。アップの多様と、ワンカット平均平均1~2秒しかないであろう超絶技巧的なカットつなぎに、織り込まれる様にして、布袋戯人形たちは、宙を飛び交い、武器は乱れ飛び、血は飛び散り、大地は鳴動するのだ。全ての観客は、只ゝ、事態の想像を絶する展開に唖然とするだけなのだ。舞台設定こそ、約400年前の乱世の時代をベースにしたものである訳だが、その世界観の根底に存在するものは、いまの子供たちがハマっている、超現代・近未来的なゲームワールドやアニメーションワールドにほかならない。

映画「聖石伝説」の魅力は、その突出したアクション・シーンばかりでは無い。台湾で5万人以上が熱狂しているという、各登場人物ごとのファンクラブの存在からもわかるように、登場する善玉・悪玉を含め実に個性的なキャラクターたちが物語に生きている。台湾のファンたちは、まるで日本のアニメ作品のように、そのひとりひとりが、そのキャラクターに自分を投影させ支持主張しあっているのだ。会員たちは、思い思いにキャラクターのコスプレを楽しみ、そのキャラクターについての性格分析や感想をコミケで発表している。また、さまざまな、メディアミックスにより、フィギュアや写真集などコレクターズ・アイテムが充実し、若い世代へ現象的な広がりをみせているのだ。 日本へも近年、フィギュアなどが個人輸入のレベルで出廻り、ミニコミ誌などもコミケでもみられる様になった。昨年秋に、東京ファンタスティック映画祭2000で上映された時、映画祭での上映が決まる以前から支持していた多数のファン達が集まり、来日した黄監督と記念写真を撮るひとたちや、お気に入りのキャラクターの衣装を身にまとった若い女性ファンたちも、其処此処にみられた。台湾のオフィシャル・ホームページも日本語版が登場し、掲示板には多数のメッセージが寄せられている。

武侠小説・アクション・超能力・エイリアン・恋愛ドラマ・父性愛…映画「聖石傳説」の台湾国内での世代や性別を越えた拡がりは、およそ観客が求めるすべてのエンタティンメントの要素を取り入れているところにある。これらをうまくを取りまとめる役割として、最新のSFX技術の投入と大作映画なみのオープンセットを使った実景による撮影を行っているのだ。実に細かくカット割りされた人形たちのアクションシーンをCG作業で繋いでゆきながら、天然の光や風、水を背景に動き回る静的で繊細なドラマ展開を、この映画のためだけに台北郊外に山野を切り開かれてつくられた広大なオープンセットアクションで撮ってゆく。屋内の人形用のミニュチュアセットでは出しにくいスケール観は、最新鋭のデジタル技術と実際の自然界の奥行きで創造されたのだ。また、全ての登場人物の声を布袋戯の伝統に乗っ取って、ひとりの人間が使い分けているのもオールドファンにとっても懐かしいところだ。

最後に、主題曲を唄うのは、台湾のロック界のスーパースターと言われている「伍佰」 (ウーバイ)が担当しているのも、若者たちを惹きつける要因と言えるようだ。