なぜ「マクロスⅡ」は「黒歴史」と呼ばれたのか?

1982年のTV版「超時空要塞マクロス」そして引き続き制作された劇場版「超時空要塞マクロス〜愛・おぼえていますか〜」は大ヒットを記録した。リアルな変形メカ“バルキリー”の活躍、リン・ミンメイの曲が現実の世界でもベストテン番組に登場するなど多くの熱狂的ファンに支持され、当然のようにTV放送や上映が終了してからも、続編や後継作品を望む声があがり続けた。

1980年代から90年代にかけては、ビデオテープやLD(レーザーディスク)の普及により「OVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)」という形態でTV放送では見ることができないアニメ作品をファンが家庭で楽しむことが可能になり、TVでヒットしたアニメ作品の続編、番外編などが続々と製作される時代が到来。
才能や実力をもったクリエイターも続々と輩出され、アニメーション業界は年々活気づいていった。

「超時空要塞マクロス」から10年の節目を迎えた1992年。
そんな時代の流れに乗るように、「マクロス」初のオリジナル・ビデオ・アニメが企画されることとなる。
言わば、新しい「マクロス」を求める時代の要請から生まれた、それがOVA「マクロスⅡ」であった。

かくして、「超時空要塞マクロス」の「第二弾」を創るべく、各方面から実力派スタッフが集められた。前作から継続する者、新たに加わった者、そして10年前に「超時空要塞マクロス」に熱狂していた者。そこには「第二弾」を創る意欲と熱意が集結していた。
しかし同時に、誰もが「巨大すぎる第一作」を意識せずにはいられなかった。

苦悩の中、「第二弾」は「前作とは逆方向の設定」を考えるところから企画がスタートした。

「主人公はパイロットではない」「敵が歌をあやつる」「ゼントラーディではない異星人」
「エースパイロットは美少女たち」といった「第一作」とは異なる数々のアイディアを投入。
そのうえで「マクロス」に欠かせない「歌」「三角関係」「バルキリー」という三大要素を用いて、新たなマクロスを構築させていった。

物語の舞台には「2090年」という「第一作」から80年後と大きく離れた時代が用意された。そこには「第一作」のキャラクターやエピソードが物語に大きく影響を及ぼさないようにという意図があった。
後に、この「マクロス年表」における80年間の空白地帯に、新たなマクロス年表が加えられていくことになる。

「第一作」の舞台が2009年、そこから31年後の2040年が「マクロスプラス」、2045年「マクロス7」、2059年「マクロスF」と80年の空白が次々と埋められていった。「マクロスⅡ」以降の「マクロス」は「第一作」の最後に語られた「人類の宇宙移民」の歴史を描いていったからである。
だが、「マクロスⅡ」以降に制作されたマクロス作品によるこれら時代設定ゆえに、「マクロスⅡ」は遥か未来のエピソードという遠い存在になってしまう。

結果、シリーズ各作における「過去の事件や史実をまとめたマクロス年表」では、「マクロスⅡ」との関わりを記すことがなくなり、それがあたかも「歴史から抹消された」かのような印象を与え、いつしか「『マクロスⅡ』は黒歴史である。」と言われるようになってしまった。

これがことの真相である。

「マクロス年表」ではたしかに、他の作品と距離をあけて位置づけられる「マクロスⅡ」。だが忘れてはいけないのは「マクロスⅡ」こそが「マクロス」に欠かせない「歌」「三角関係」「バルキリー」という三大要素を用いて、「新たなマクロス」が創れることを示した最初の作品であるということだ。
「マクロスⅡ」が挑戦した「『新たなマクロス』を創る」という命題はその後に続く「マクロス・シリーズ」の無限の可能性を引出したと言える。
その後の長きに渡り続くシリーズのその大きなターニングポイントとなった作品、
それが「マクロスⅡ」である。



END

ゼントランでもよくわかる『マクロスII』

release

ゼントランでもよくわかる『マクロスII』
15秒CM
PV

release

◆商品名
・超時空要塞マクロスII Blu-ray Box

◆発売日
・2014年07月25日

◆特典
・特製ブックレット(108P)

◆音声特典
・新規オーディオコメンタリー
#1 富田祐弘(シリーズ構成)、美樹本晴彦(キャラクターデザイン)
佐々木史朗(音楽プロデューサー)、高梨実(プロデューサー)
#6 タカヤマツトム(神崎ヒビキ役)、笠原弘子(イシュタル役)、冬馬由美(シルビー・ジーナ役)

・BD-Audio「イシュタルからの伝言」
※「イシュタルからの伝言」はLD・VHS全巻購入者特典CDを再収録したものです。

◆映像特典
・ノンテロップOP/・ノンテロップED/・#6ノンテロップED
・Blu-ray Box PV/・Blu-ray Box CM

◆他、仕様
・美樹本晴彦描き下ろし収納BOX
・大張正己描き下ろしインナージャケット

カラー/160分/(本編153分+特典7分)/リニアPCM(ステレオ)/AVC/
BD50G×2枚/4:3<1080p High Definition>

超時空要塞マクロスII Blu-ray Box

超時空要塞マクロスII

story

ヒビキとイシュタル…2人の出会いが新たな伝説の幕を開けた――

異星巨人・ゼントラーディとの戦争から遥か未来。かつて地球を救った宇宙戦艦マクロスも朽ち、人と同じサイズとなったゼントラーディ人らとともに、人類は新たな栄華を誇っていた。

スキャンダル専門のTVレポーター・ヒビキは、突如太陽系に侵略してきた異星軍と統合軍の戦闘を取材することになった。ミンメイ・アタック―「歌」に極度の動揺を起こすゼントラーディには最も効果的な攻撃方法―の視聴者が泣いてよろこぶシーンを押さえようと、ヒビキは民間用バルキリーを飛ばす。だがヒビキが目撃したのは、なおも突進する敵に撃破される数々の統合軍部隊だった。混乱するままに大破した敵戦艦に侵入した彼は、そこで美しい少女・イシュタルと出会う・・・。

character & mechanic

character

神崎ヒビキ(CV:高山 勉)

駆け出しの芸能レポーターとしてSNN(スクランブル・ニュース・ネットワーク)に所属する野心満々の若者。過去に芸能スキャンダルをスクープしたことで一躍有名な芸能レポーターとなった。そもそもレポーターを志したのは、8年前にテレビで見たデニス・ローンという記者の報道がきっかけ。
お茶の間を喜ばせるためなら取材対象のプライバシーもかえりみない彼は、ある日、統合軍に勤めるシルビーとエクセグランの密会をスクープしたことで軍部に圧力を掛けられる。
その後、地球に侵攻してきたマルドゥーク軍との戦争が始まるなか、デニスとともに戦場へと出向いた彼は、そこでデニスの死とひきかえに報道のなんたるかを教えられる。

神埼ヒビキ

イシュタル(CV:笠原弘子)

マルドゥーク軍の歌巫女(イミュレーター)として生きてきたミステリアスな女性。ただ一曲しか種類がないその歌には、ゼントラーディ人を戦闘に駆り立てる一種の興奮剤の力がある。また、歌巫女はひとりだけではなく複数おり、彼女たちは正当なマルドゥーク人の血を受け継いでいる者が多いらしい。
統合軍との戦いで、ヒビキにより地球へと連れ去られた彼女は、地球の文化に戸惑いながらも、さまざまな「歌」や「文化」に衝撃を受け、徐々に自分たちマルドゥークの考え方に疑問を持つようになる。

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シルビー・ジーナ(CV:冬馬由美)

バルキリーⅡを駆る、統合軍の女性エースパイロット。通称「フェアリーリーダー」、階級は中尉。17歳という年齢で「太陽系バルキリー操縦選手権大会」で3位入賞した実績がある。普段は、女性らしさを持っているが、メルトランディの血を引いているせいか戦闘時においては性格が豹変する。彼女曰く「無鉄砲は、おばあちゃんゆずり」だとか。また、その腕っぷしの強さは男性に負けないほど。
日頃から、ミンメイ・アタックに頼りきった統合軍の軍略と、軍内部の腐敗に心を痛めていた彼女は、変装してエクセグラン総司令と密会を持っていた。その現場をフォーカスしたヒビキには、当初反感を抱いていたが、戦いを通じて心を通わせていくことになる。

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フェフ(CV:古谷 徹)

マルドゥーク軍、第3先鋒艦の艦隊司令官。真紅の機動兵器ギガメッシュを操る優秀、勇猛な戦士である。軍に命を捧げた男で、地球人を下等民族と考えている。
太陽系侵略時の先鋒を務めるが自艦を撃沈され、歌巫女のイシュタルをヒビキに連れ去られてしまう。その後、イシュタルを地球から取り戻すために奇襲攻撃をしかけ奪還に成功するが、彼女が地球に戻りたいと言ったことから逃亡を手助けする。この行動にも現れているように、イシュタルに対しては、任務以上の想いを抱いているようだ。

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character

VF-2SSバルキリーⅡ

往年の名機、VF-1バルキリーの発展型でありVF-1シリーズの後継機で、ファイター、ガウォーク、バトロイドと3形態への変形能力を持つ統合軍の主力可変戦闘機。ゼントラーディと地球、両方の技術を融合させた機体。機体の大きさはVF-2JAよりも一回り小さいサイズとなっており、間接部分などにはゼントラーディ用パワードスーツのノウハウを利用することによって、強度などの問題を克服している。ほとんどの場合は大気圏外で活用され、宇宙空間では通常の装備として、空間戦闘力、機動力を向上させるためSAP(スーパーアームドパック)を装備している。主にシルビーやネックスが搭乗し、ネックス機には、専用のガンポッドが右足に収容されている。

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STAFF
監督:八谷賢一/キャラクターデザイン:美樹本晴彦/メカデザイン監修:大畑晃一/コンセプトデザイン:渡部隆/シリーズ構成:富田祐弘/OPアニメーション:大張正己/作画監督:田中正弘・大張正己・荒木秀樹・筱雅律・滝川和男 ほか/美術監督:中原英統/撮影監督:小西一廣/音響監督:本田保則/音楽:鷺巣詩郎/制作:AIC・オニロ 他

CAST
神崎ヒビキ:高山勉(現:タカヤマツトム)/イシュタル:笠原弘子/シルビー・ジーナ:冬馬由美/エクセグラン司令官:坂口芳貞/ネックス・ギルバート大尉:島田敏/ナスターシャ:引田有美/沙織:原亜弥/エイミー:國府田マリ子/フェフ:古谷徹/イングス:置鮎龍太郎 他

キャストコメント

冬馬由美さん

マクロスファンならば、すべてを揃えなければ真のマクロスファンとは言えないと思います。ということで、是非このマクロスⅡBlu-rayBoxを、よろしくお願いいたします。

笠原弘子さん

マクロスⅡは本当に私の思い出深い作品なので、みなさんが、リアルタイムで見てくださっていた方も、まだ見てないっていう方も、綺麗なBlu-rayで見て頂いて、そして私も楽しみにしている特典というのがあるので、そちらのほうも楽しみにして頂きたいと思います。ぜひお手に取って確かめてくださいね!

タカヤマツトムさん

22年の時を経て、ようやく超美麗映像としてこのマクロスⅡが皆様のお手元に届くというこの喜びを誰と分かち合えばいいのだろうと…。マクロスⅡのあとにマクロス7というテレビシリーズがありましたけどこれを見ていただくとなんでⅡの次に7なのか、それがわかると思います。たぶん、きっと、ええ。というわけでぜひBlu-rayでご確認ください!

集合写真